日本語で米国登録栄養士(以下、RDN)についての情報が少ないのはなぜ??
「単純に日本人RDNの人数が少ないから...」
というのがもちろん主な理由ではありますが、
➥ じゃあ、なぜ少ないのか..??
実際に、自分が資格を取るまでの道のりで、
「あぁ、この壁/制限は、門戸を狭めてしまうだろうな..」
と思ったポイントを以下にまとめます。
尚、この情報は、興味ある方のモチベーションに水を差す為ではなく、現実的に計画をしていく上で、知っておいた方が良い& 後から「えぇ...もっと早くからこの事知ってたら、〇〇してたのに‥」という可能性を避ける為に、目を通して頂けたらという事で載せてみました。
"Just a heads up" (前もってお知らせ)という感じで😊
目次
日本人RDNが少ない理由
日米で栄養士免許の互換性がない
日本の管理栄養士免許をアメリカで使うことができるかどうか質問を頂いた事があるのですが、残念ながら答えはNoで、免許をトランスファーする事はできません。
例えば、看護師さんの場合は、日本の看護師免許を持っていて一定の条件を満たしていれば、アメリカの国家試験を受験する為に必要な条件を日本で修了済みとみなされ、試験に受かれば免許をトランスファーしてアメリカで働くことができるそうなのですが(*州によりますが)、残念ながら、管理栄養士免許に関しては同様にはいきません(現在、栄養士免許のトランスファーが認められている国は4カ国で、日本はその認定国に入っていません。これに関してはまた別記事で..)。
ただ、日本の管理栄養士さんが、アメリカでRDNの資格をとるために学校に入りなおす場合、大学時代に取られた単位が、Prerequisites(事前履修科目)の一部として使える可能性は十分あるかと思います。*私は、日本で管理栄養士専攻ではなかったのと、あと単位が古すぎた😂為、結局、大学院出願に必要なPrerequisitesクラスは全部取り直しが必要でした..😭(理系の単位をトランスファーしたい場合、5年以内にとられた単位に限ると言われてしまい.. 大学卒業から約10年以上経ってた私は完全アウト..)
逆も然りで、米国RDNの資格をもって、日本の管理栄養士として働く事はできません。
資格取得のシステムが異なるのはもちろん、米国RDNは日本で管理栄養士として働く上で必要な知識を学んでないので(診療報酬の算定方法や給食経営管理etc) まぁ納得ではありますが..
RDNの資格のみで日本に帰国後、使えないとなると.. 取得にかかるお金・時間とメリットを天秤にかけた際、魅力が薄れてしまうのは仕方無い事だと思います。
が、もし状況が許すなら、もちろん留学や現地で得られる経験は財産ですし、日米両国での知識をもって帰国後のお仕事に活かされるのは素晴らしいと思います。
ビザ問題。永住権がないと就職が厳しい
じゃあ、RDN取得後にアメリカで現地就職..という案についてはどうか?というと、
絶対無理とは言い切れないけど、ビザの問題でとても難しいです..。
米国籍 or 永住権がないと就職活動は厳しいです。というのも、アメリカ人RDNが多くいる中で、わざわざお金と手間がかかるビザサポートが必要な留学生RDNを雇う就職先はそうないからです。臨床現場は特に。企業や一部の療養施設(アメリカ人RDNや永住権有りのRDNの応募者がいない場所)では外国籍RDNのビザをサポートしてくれる所もあるかもしれませんが..。
これは、RDNの資格に関わらず、卒業後残って働きたい多くの留学生にとって悩ましい課題のひとつですね..。
そういったビザの理由もあり、日本人RDNさんは少ないのかなと思います(私の知る、こちらで働いている日本人RDNさんは、国際結婚で米国籍or永住権持ち。私は国際結婚ではありませんが、ビザ履歴はJ-2→H-4→グリーンカードです)。
留学(Fビザ)=学費高額
留学にかかる費用の高さも、もちろん厳しいハードルの一つです。学費は、学校によって様々ですが(州、州立vs私立 etc..)、留学生ビザで来られる場合、学費は州民の約2−4倍近く高い事がほとんどです。💦
例えば、私が卒業したUT Southwestern Medical Centerの場合、大学院(2年)の授業料は
- テキサスの州民 $22,900
- ↑以外の州民 & 海外留学生は $52,400
約2.3倍の差...。テキサス州立ということもあり、私立や海岸沿いの州立等よりは安めなようですが、正直、州民でなければ私は入学を諦めざるを得なかったかと..
上記の学費以外にかかるのは、
健康保険代、スクラブ、ラボコート、入学前のワクチン代とバックグラウンドチェック費、CPR訓練費、ドラッグ検査、交通費(テキサスだと車必須です。ローテーションで色々な場所に行くので)、そしてもちろん生活費諸々 etc..。
奨学金有無によってシチュエーションは大きく変わるでしょうから、学費がネックの場合は入念に奨学金について調べるのをおすすめします。
英語の壁
留学経験のある人や、帰国子女の方はさておき.. 英語に苦手意識のある方、自信のない方多いのはないでしょうか。実際、私にとっては英語が一番高く立ちはだかる壁でした(いや、今も十分ではないと感じるので現在進行系で「です」かな😂)。
大人になってから、新しい言語を習得するのはチャレンジングですよね。スタート地点の英語レベルは皆さんそれぞれだと思いますが、やはり専門用語も多いですし、いざ英語で全てやっていかねばならないのかと思うと長い道のりに感じてしまうかもしれません。こればっかりはスポーツと同じで、一朝一夕ではなく、日々の積み重ねなので、「留学して、RDNの免許をとりたいな」と興味をもたれたら、英語から先に手をつけられる事をおすすめします。
大学院への出願だとTOEFLのスコアが100以上(又は、IELTSだと7以上) が必要なところが多く、あとGREも受けなければならないので、「何から手をつけていいかわからない..」という方には、とりあえずTOEFLやIELTSのボキャブラリーから覚え始めながら、他の調べ物を始められるのはいかがでしょうか。
🍀
以上、日本人RDNが少ない理由を考察してみましたが、
最後に言えることは、上記↑の内容も含め、
情報が少ない為に、行動に移す前にくじけてしまうケース、中々多いのではないでしょうか。
大きな大きな決断。
特に、資格取得後、本帰国される予定の場合はなおさら。
情報収集がキーなのに具体的な情報が少ないとやっぱり不安ですよね。
そんなわけで、本サイトが今後少しでもご参考になりましたら幸いです。
ではでは。
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追記:
逆に、以下のような方はめちゃアドバンテージです。
- すでにアメリカ在住で、学費がレジデント価格でOk
- グリーンカード保持者
- 英語得意
実際、私の知る日本人RDNさんは(といっても三人しかいないのですが)
三人中お二人は、国際結婚でグリーンカードorアメリカ市民に帰化された方ですね。あとお一人は、留学してこちらでRDNをとられた後、日本に帰国されました。